松尾スズキ「老人賭博」
昨日、ようやく「文學界」を買って
松尾スズキさんの小説「老人賭博」を読みました。
すごく笑っちゃうんだけど虚無感が漂う、
不思議な読後感。
この感覚、何て言ったらいいんだろう・・と
思いながらブログ巡りをしていたら、
岩淵弘樹さんという方のブログで
「心ない善、心ない悪、という微妙な心理の揺らぎが
コミカルな所作の端々に滲んでいる。」と
書いて下さっているのを見つけて
そう!そうなんです!と思いました。
登場人物達がやっていることは
まさに、「心ない善」と「心ない悪」。
こういう観念は私にないものですごく新鮮でした。
これって松尾さん独特の世界観だよなぁ。
それに、松尾さん自身を投影しているような登場人物、
海馬の言葉には、松尾ファンなら知っている
松尾さんの思想や考え方が随所に表れていて面白い。
特に強烈な印象が残ったのは、
前述の岩淵さんのブログでも引用していたこの台詞。
↓
「役者の仕事ってのは異常な行為なんだよ。
俺は哀しいほど正常な人間だから、
神を相手にゲームをしているような異常な身体を
作っとかないと、人前で演じるという異常性に
耐えられないんだな。」
それから、言葉の本来の用法を少しずらして使う
松尾さんならではの文章表現も、相変わらず心地良いです。
「童貞をこじらせているといってもいい。」とか。
これは松尾さんにしか書けない小説だと思う。
自分にしか書けない独特のスタイルを持っている人って
本当にすごいなあと憧れます。
それにしても、この登場人物達。
モデルになっている人が想像しやすい
かなりリアルな人物像なので
「ああ、松尾ちゃんはこの人のことを
思い浮かべながら書いてるなー」
と思いつつ読んでしまいますね(^_^;)
映像化されても面白そう。
大根仁さんのブログでも絶賛されてましたよ。
http://blog.livedoor.jp/hitoshione/archives/50875734.html
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